春がやってきた。
この食いしん坊の私にとって春の楽しみといえば、「春の食べ物たち」である。
スーパーへいく足取りもウキウキするくらい、心が浮き立つ。
最近では流通がよくなったのか、小さなスーパーにもいままで手に入らなかった食材も並ぶようになった。
私が愛する春の食べ物たちはこんなラインナップだ。
・タラの芽
・ふきのとう
・菜の花
・新玉ねぎ
・グリンピース
・スナップえんどう
・アスパラガス
・たけのこ
・春きゃべつ
・そら豆
・あさり
などなど。
タラの芽とふきのとうは天ぷらにして、おそばと一緒にいただいたり、山椒塩をパラリとかけてても絶品だ。
菜の花はさっと湯がいて、からし醤油をくぐらせておひたしに。
新玉ねぎはスライスして、かつおぶしをのせてポン酢を回しかけて。
サラダにも春野菜は大活躍だ。
この時期になると、春キャベツと新玉ねぎ、スナップえんどうで作ったサラダが毎日のように我が家の食卓に並ぶようになる。
「豆ごはん」は夫の大好物。あればあるほど食べてしまうので、作りすぎないように注意するほどである。
そら豆は母が甘辛く炊いたものをよく作ってくれたので、真似て作るがまるでお菓子のように甘くて風味豊かな味はいまだに出すことができていない。
アスパラガスなどは、私の一番好きな野菜でもあるので、たくさんゆでてテーブルの上にうっかり置いておくと、通るたびに、ポリポリと食べまくっている。もはや完全におやつ代わりである。
こうやって書いているだけでも、頭の中でレシピとヨダレがどんどん湧いて出てくるほど、春の食べ物が好きな事に気が付く。
なぜだろう、春の味覚を楽しむと身体が喜ぶ感じがする。
春は命が芽吹く時期だからだろうか。
もちろん旬なものは栄養価が高いといわれるけれど、食いしん坊の私には感覚的なものが大きい。
寒い冬をくぐり抜けたうれしさがスーパーに並んでいる食材に重なって見えてしまって、
外で遊んでいいよ、と許しを得た子供のようにはしゃいでしまうのだ。
ただ一つ、たけのこだけはどうも苦手である。
口に入れるとエグみを感じてしばらくの間、他のものを食べられなくなってしまうのだ。どうやら軽いアレルギーらしい。
なのに、ふくよかで立派なたけのこをおすそ分けが毎年会社の同僚からありがたいことにやってくる。
しかたないので、一緒にいただく糠(ヌカ)とともに家に持ち帰って義理の母にうやうやしく献上するのが恒例となっている。
「糠でゆでる」という下処理も私は苦手なので、私はたけのことセットで 義母に丸投げしてしまう「鬼嫁」なのである。
「まあ、立派なたけのこ。」
鬼嫁の無茶ぶりにもにこやかに対応してくれる、この義母のやさしいお言葉も毎年の恒例行事となった。
そのうち、「若竹煮」や「たけのこごはん」がホカホカと湯気を立てて我が家にやってくる。
たけのこは苦手だと書いたが、ほんの少し、穂先のおいしいところだけはどうにか食べられる。
なので、家に持ち帰ったご褒美と称して(とはいってももらってきただけだが)やわらかくて希少な部位を少しだけ味わうことにしている。
我ながら、なんとも贅沢な身分である。
そして食しながら、たけのこをいつも分けてくれる同僚にも、義母にも、そして春の恵みにも心から感謝するのも毎年の恒例なのである。
「心から感謝する」。
それが私の「春の食卓」なのである。
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