宝塚エリザベートガラ・コンサート千秋楽 感想

今、これをいいたいっ

望海トートが生まれた。

まさに爆誕である。

その姿は迫力満点で、まるで背後に黒くて青い炎が燃え上がっているのが見える気がした

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5/5、ライブビューイングではあったが、宝塚エリザベート25周年スペシャル・ガラ・コンサートに行ってきた。

実際の舞台は無観客で、ライブビューイングの他、 ライブ配信もされた。

映画館の座席はソーシャルディスタンスを保つため、ところどころ空けてあり、検温やアルコール消毒、マスク着用、声はださないようにとコロナ対策が厳重になされていた。

このコンサートは宝塚歌劇団でミュージカル「エリザベート」が上演されてから25周年を記念して開催された。

今まで「エリザベート」を演じてきた宝塚OGが日替わりで出演するという豪華なコンサートになっていて、4月から始まり、私が行った5/5が千秋楽にあたっていた。

この日のトート役は4/11に宝塚歌劇団を退団されたばかりの望海風斗さん。

エリザベートは1幕が夢咲ねねさん、2幕が明日海りおさんが演じる。

舞台の衣装そのままにアーチストが出演するフルコスチュームバージョンとは違い、5/5のスペシャルバージョンは役をイメージする衣装のままでコンサートは進む。

望海風斗さんは宝塚時代のエリザベートではトート役はされたことがなかったのでどんないで立ちで登場されたるのかとドキドキする

宇月颯さんのルキーニの「トート閣下っ!」という声で現れた望海トート。

その姿はシルバーのロングヘアに黒く長いマントをまとっていた。

目を引いたのは顔の右側面。

黒い血管が浮き上がったかのような模様が、こめかみから頬のあたりまで広がっていた。

まるで、「ファントム」で演じたエリックの仮面のようだ。

3日間、毎日、日がわりで模様は変わったそうだが、きっとこの模様が望海さんが作り上げたトートの象徴なのだ。

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今まで演じられたトートが黄泉の帝王の力でエリザベートを自分の元に導くスタイルだとしたら

望海トートは自分の執着の炎でエリザベートをまるで燃やしつくしてしまうかのようなエネルギーを醸し出し、エリザベートにまっすぐターゲットを定めている。

邪悪でストレートな情念を隠そうともしない。

冷たく黒いオーラがどこまでも広がっているのに、見ている者を熱くさせる。

加えてあののびやかでしなやかな歌唱力とどこまでも奥深い演技力である。

すべてが望海トートのパワーに拍車をかける。

FNS歌謡祭で山崎育三郎さんと「闇が広がる」を望海さんは歌った。

あの時とはまるで違う冷たい「闇が広がる」だったし、「最後のダンス」はまるで心をえぐるような奥深さを感じた。

この状態の望海トートを在団中雪組公演で見られたらどんなにすばらしかっただろう・・・と思ったのは私だけではないはずだ。

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もう一つ注目していたのは、宝塚では男役であった明日海りおさんのエリザベートだ。

明日海りおさんのファンの友人が初日にオンラインライブを見た感想を私は聞いていた。

「緊張からか、声が震えているようだったし、高音の歌はまだむずかしそうだった」

と彼女は心配していた。

最初の登場シーン、望海トートとバチバチと対峙する場面。

私もドキドキしながら見守った。

ドレスをまとった明日海さんが現れたのを見て、彼女の男役を多く見てきた私はどうしても違和感を感じてしまう・・・。

しかもトートをにらみつける明日海さんの表情は挑みかかる「男そのもの」に見えた。

うわ・・大丈夫だろうか・・。

けれどそう思ったのは一瞬。

場面が変わってからガラッと変わり、凛とした落ち着いた「女性らしい」明日海シシィであった。

高音の歌も全く違和感なく美しい歌声で、さすが明日海さんだと感心した。

最初の場面、あのバチバチした雰囲気と、燃え上がる望海トートに反応してしまい、ついつい身についた「男」がでてしまったのかもしれないと私はひそかに思った。

舞台のあと、望海トートの横でほほ笑むみりおちゃんはやさしい笑顔で、先日出演されていた「青のSP」のように、女性としての魅力が次第に開花しているのだなぁとしみじみ思った

宝塚ファンになって間もない私は、申し訳ないことにこの公演の出演者をほとんど知らなかった。

けれどみなさん、すばらしい歌声でこのメンバーで本公演を見てみたいと本気で思った。

特に鳳真由さんのフランツは、穏やかで優しい歌声で、公演中、目が離せなかった。

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一人だれ宝塚専科から出演されていた悠真倫さんが挨拶で感謝の言葉を口にされた。

「ライブビューイングやライブ配信を開発してくれた方々、こんな素晴らしいものを作ってくれた方に心から感謝します。」

本当にその通りだと思う。

多くの人が見たいものを見られる。

こんなに素晴らしいことがあるだろうか。

もちろん生の舞台の迫力やエネルギーには到底及ばないだろう。

けれど、それが叶わない人にまでその画像が届くという技術の進歩は素晴らしいと思う。

このシステムを作った方々にも悠真倫さんの言葉を聞いて感謝したい気持ちでいっぱいになった。

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公演中、私はずっと泣いていた。

なぜ泣いているのかよくわからなかった。

それは私だけではなかった。

周囲をを見回しても泣いている人が多かった。 一緒に行った友人も泣いていた。

友人もなぜ泣いているのか自分でもよくわからないと言っていた。

魂が揺さぶられている、そんな感覚だ。

コロナ禍で、きちんとした舞台がずっと見られなかった。

しかも、こんな豪華キャストでのコンサートを新たな感動とともに見ることができた。

懐かしい顔ぶれ。

懐かしい曲。

昔見たエリザベートとともに記憶がよみがえった。

演者の深みも加わった歌声を聞くことができた。

それぞれ、きっといろいろな理由があるだろう。

「見た方の時期、その時演じた人。そのたびに進化するエリザベートはとても大切ですばらしい演目」

明日海さんがこのようなことを言っていた。(記憶違っていたらすみません)

おそらく見た者それぞれがそれぞれの過ごした時間とともに、心に刺さるものがあったのだと思う。

SNSでも号泣したという人の投稿を多く見かけた。

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エリザベートというミュージカルの楽曲中心のコンサート。

その内容以上に、コロナ禍の中、このコンサートはたくさんの人の心に幸せと癒しを送ってくれたイベントだったと私は思う。

一部公演中止となり、ライブ配信とはなったが全員が完走できたことは凄いことだと思う

この千秋楽、ライブビューイング、ライブ配信はその時点で4万以上のアクセスがあったそうだ。

オンライン公演は自宅で見る人だったら一人ではなく家族や友人と一緒に見た人も多かったろう。

4万人以上の、本当に多くの人が見たことになる。

どれだけの人が「エリザベート」を愛し この公演を楽しみにしていたのかわかる数字だ。

すばらしいコンサートを企画、開催してくださった方々、スタッフの皆さん、心から感謝したい。

みなさま、本当に本当に、すばらしいコンサート、感動をありがとうございましたm(_ _)m

なお、ダイジェスト版を含むDVDが発売されるそうだ。

5/10までに予約すると【トート9名の舞台写真が載った非売品クリアファイル】が特典として付くそうである。

https://www.umegei.com/elisabethgala25/special.html

  ご興味のある方はぜひ。

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